プリズム!
夏樹だって普通の女の子なのだ。

『可愛い』と、素直に口にすることが出来なくても、表情でそれが伝わって来る程に。


(こんな嬉しそうな顔、見れると思わなかったな…)


雅耶は「どういたしまして」と、満足気に微笑んだ。




翌日。


気持ちの良い秋晴れの朝。

夏樹は真新しい制服に身を包み、アパートを後にした。


少し緊張気味に駅までの道のりを歩いてゆく。

(…いつもと同じ道なのに、何だか景色が違って見える感じだ…)

今までと違うのは、自分自身だけなのだけれど。


やはり、どうしても違和感が(ぬぐ)えない制服…。

道行く人が、皆自分を笑って見ているような気さえしてしまうけれど。

(でも、大丈夫…)

夏樹は、鞄に視線を移した。

雅耶に貰ったマスコットキーホルダーが歩みに合わせて揺れている。

(雅耶がついてくれてるし…)



『これは、お守りだよ』

『…お守り?』

『そ。夏樹が新しい環境で、充実した学校生活が送れる為の、ね。それを俺だと思って持っててくれると嬉しいな』

笑顔で言っていた雅耶。
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