プリズム!
不意に意識が浮上して。

ぼんやりと室内を何処を見るでもなく眺めていると、思わぬ所から声が掛かった。


「…夏樹?目が覚めたのか…?」


「え…?まさ…や…?」

そこには雅耶がいて、心配げにこちらを覗き込んでいた。

(どうして雅耶がここに…?いつの間に来たんだろう?)

自然と浮かんだそれらの疑問は、だが夏樹の口から出てくることはなかった。

(…まぁいいか…。雅耶今日来るって言ってたし…。寝てる間に来たってことだよね…)

深く考える事さえも億劫(おっくう)で、ただぼんやりと雅耶の顔を眺めていた。

すると、雅耶が心配げに眉を下げて見つめてくる。

「…大丈夫か?調子はどうだ?」

「ん…。大丈夫…。ねぇ、今って…何時?」

そう言って起き上がろうとするが、雅耶にやんわりと制止される。

「無理しないで寝ておけって。今は午後三時を過ぎたとこだよ」

「もう…そんな時間なんだ…」

結構な時間、眠ってしまっていたようだ。


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