プリズム!
その真っ直ぐな、どこか熱い眼差しに。

昨日の学園祭での出来事を急に思い出してしまい、夏樹は途端にカーッとなって頬を染め上げた。

「う…うん…。わかった…」

かろうじてそう返すと、雅耶が嬉しそうに笑みを返して来る。


(うぅ…何か、余計に熱が上がる気がする…)


横になっていてもクラクラくる眩暈(めまい)に、夏樹が思わず目を閉じると、それと同時にピピピ…という体温計の検温終了を知らせるアラームが鳴り響いた。


「38度2分、か。結構あるな…。こういう場合、病院行った方がいいのかな?」

計り終わった体温計を眺めながら、雅耶は難しい顔をして言った。

「でも、今日は日曜だし…大抵(たいてい)のとこはやってないよな…」等、ブツブツ独り言のように呟く。

そんな雅耶を見上げながら、夏樹は笑った。

「平気だよ、これ位。寝てれば治るって。大概(たいがい)、雅耶もふゆちゃんも心配性だよ」

その言葉に思わず大きなため息が出る。

「普通はね、心配するものなのっ。当然だろう?こんなに熱いのに…」

雅耶は、見るからに(だる)そうなのに笑顔を浮かべている夏樹の首元をそっと手で触れた。やはり、かなりの熱さだ。

手が冷たかったのか一瞬ビクリ…と首をすくめた夏樹だったが、今は気持ちが良いのか大人しくされるがままにしている。

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