プリズム!
「今までは『病院へ行く』っていう選択肢そのものがなかったからさ…。今はもう普通に行けるって分かってるけど…でも、ちょっと苦手意識がある、かな…」
「そうか…」
確かに、正体を隠して『冬樹』でいる以上は医者に掛かることなど出来る筈がなかっただろう。
「そういう色んな苦労がきっと、お前にはまだまだ一杯あったんだろうな」
夏樹は何も言わず、静かにこちらを見上げてくる。
「今までにも、こんな風に高熱が出たりしたこともあったのか?」
「ん…。どうだったかな…?もう忘れたよ。体温なんてわざわざ計る訳でもないし…」
夏樹は何でもないことのように言った。
だが、それを聞いていた雅耶は居た堪れない気持ちになる。
何と言ったらいいか分からず黙っていると、夏樹が「でも…」と付け足してきた。
「でも、具合悪い時に誰かが傍に居てくれるのって、こんなに落ち着くものなんだね。知らなかったよ…っていうか、思い出した」
夏樹は穏やかな笑みを浮かべると、首元に添えていた雅耶の手に自分の熱い手をそっと重ねてくる。
「傍に、ずっと…ついててくれてありがと。雅耶…」
「……っ…。夏樹…」
「そうか…」
確かに、正体を隠して『冬樹』でいる以上は医者に掛かることなど出来る筈がなかっただろう。
「そういう色んな苦労がきっと、お前にはまだまだ一杯あったんだろうな」
夏樹は何も言わず、静かにこちらを見上げてくる。
「今までにも、こんな風に高熱が出たりしたこともあったのか?」
「ん…。どうだったかな…?もう忘れたよ。体温なんてわざわざ計る訳でもないし…」
夏樹は何でもないことのように言った。
だが、それを聞いていた雅耶は居た堪れない気持ちになる。
何と言ったらいいか分からず黙っていると、夏樹が「でも…」と付け足してきた。
「でも、具合悪い時に誰かが傍に居てくれるのって、こんなに落ち着くものなんだね。知らなかったよ…っていうか、思い出した」
夏樹は穏やかな笑みを浮かべると、首元に添えていた雅耶の手に自分の熱い手をそっと重ねてくる。
「傍に、ずっと…ついててくれてありがと。雅耶…」
「……っ…。夏樹…」