プリズム!
自分の手に重ねられた、夏樹のその手の熱さに。

まるで、その掌から伝わる全ての熱を吸い上げるかのように、カーッと頬へと熱が集中していくのが自分でも分かった。

微笑んで見上げている夏樹の、その潤んだ瞳に釘付けになる。

まぁ、これは熱のせいなのだが。

「そんな可愛い顔して、そんな可愛いこと言われたら止められなくなるだろ?」


「え…っ?」


雅耶は堪らなくなって、ベッドに横になっている夏樹に(おお)いかぶさるように手を付いた。

「まさ…や?」

「本当は…。今日は具合悪いし何もしないって決めてたんだけど…。夏樹があまりにも可愛いから決意が揺らいじゃうよ」

そう言って、どこか大人びた瞳で夏樹を見下ろした。

驚いたように瞳を大きくして固まっている夏樹に、ゆっくりと顔を寄せて行く。

「ちょっ…待って!」

流石に『キスされる』と理解した夏樹が、目を瞑るも慌てて止めに入った。

「どうして?」

「だ、だって…っ。これが風邪とかだったとして、雅耶にうつったりしたら大変だろっ…」

< 190 / 246 >

この作品をシェア

pagetop