プリズム!
今になって思えば、あれは夏樹そのものだった。
家族を海で失った悲しみ。そして、自分のせいで兄が身代わりになったと自分を責め続けていた夏樹にとって、海はもう…ただの綺麗な憧れではなくなっていたのだ。
だが今は冬樹が生きていたことで、僅かながらにも心の傷が癒えたのかも知れない。
夏樹の横顔を見ながら、雅耶はそう思った。
「前に…さ…」
視線はポスターへと向けたまま、夏樹がぽつりと言葉をこぼした。
「前に雅耶がこの絵を見て、昔した約束のことを話してくれたでしょう?」
「…ああ」
まさしく、今自分が思い出していたことを夏樹が口にしたので、雅耶は内心で驚いていた。
「本当は…すごく、嬉しかったんだ…。あんな昔の約束を、ずっと覚えていてくれてたんだって…」
夏樹は、その時のことを思い出しているのか瞳を伏せめがちに言った。
雅耶は堪らなくなって夏樹に向き直ると、僅かに声を上げた。
「当たり前だろう?忘れるハズ…ないじゃないか。俺は必ずその約束をいつか叶えるんだって、ずっと思ってたんだ。お前が…夏樹がいなくなってからも、ずっと…」
「雅耶…」
家族を海で失った悲しみ。そして、自分のせいで兄が身代わりになったと自分を責め続けていた夏樹にとって、海はもう…ただの綺麗な憧れではなくなっていたのだ。
だが今は冬樹が生きていたことで、僅かながらにも心の傷が癒えたのかも知れない。
夏樹の横顔を見ながら、雅耶はそう思った。
「前に…さ…」
視線はポスターへと向けたまま、夏樹がぽつりと言葉をこぼした。
「前に雅耶がこの絵を見て、昔した約束のことを話してくれたでしょう?」
「…ああ」
まさしく、今自分が思い出していたことを夏樹が口にしたので、雅耶は内心で驚いていた。
「本当は…すごく、嬉しかったんだ…。あんな昔の約束を、ずっと覚えていてくれてたんだって…」
夏樹は、その時のことを思い出しているのか瞳を伏せめがちに言った。
雅耶は堪らなくなって夏樹に向き直ると、僅かに声を上げた。
「当たり前だろう?忘れるハズ…ないじゃないか。俺は必ずその約束をいつか叶えるんだって、ずっと思ってたんだ。お前が…夏樹がいなくなってからも、ずっと…」
「雅耶…」