プリズム!
雅耶は静かになってしまった冬樹に向き直ると、改まって言った。

「なぁ、冬樹?一応言っとくけど、俺の中では夏樹だけだよ。昔から、それは変わってない。あの事故の後もずっと諦めきれなかった位に…。冬樹、昔言ってたよな?夏樹のことが好きだって言ってた俺に…」


『ボクもなっちゃんのことが大すきだから、ボクをちゃんとみとめさせる位じゃないと、なっちゃんをおよめさんにはあげないよ』


昔、冬樹が言った台詞(セリフ)だった。


「おおっ!実のお兄ちゃんにそこまで言わせるなんて、夏樹ちゃんったら愛されてるのねぇ。本当に罪な子っ♪」

長瀬が後ろでクネクネと(もだ)えている。

だが、二人は至って真面目に向き合っていた。


「絶対に認めさせる自信あるよ」


真っ直ぐに見つめてくる雅耶に。

冬樹は僅かに視線を落としてクスッ…と笑うと、再び視線を合わせた。

「まぁね。僕は信じてるけどね、雅耶のこと」

そう言って淡く微笑んだ。

「4月からこの家に来るとは言ったけど、仕事でこっちを拠点にする時に寄るだけなんだ。だから、普段はなっちゃんを一人にしちゃうことに変わりはないんだけど…。雅耶がいてくれるから安心してるよ」

そう静かに話す冬樹の、その微笑みにつられるように雅耶も小さく笑みを浮かべた。

「なっちゃんをよろしくね」

「うん、任せろって」

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