プリズム!
「だいたい『いかがわしいこと』って何かな?」

冷や汗ダラダラの雅耶に、不敵な笑みを浮かべた冬樹と長瀬がにじり寄ったその時だった。


「みんな、あったかい飲み物でも飲むー?」


突然リビングに面したキッチンの陰から夏樹が顔を出した。

「ん…?どうしたの?何かあった?」

微妙な空気を察した夏樹が首を傾げる。

「ううん。別に何もないよ。ね?雅耶?」

冬樹が今度は邪気のない笑顔を向けてくる。

「あ…ああ…」

(…何なのっ、この変わりようっ!!)

「そーだよなー?あ、夏樹ちゃん。俺コーヒーが良いな♪ミルクと砂糖入りのやつ」

「僕も温かい飲み物…いただこうかな」


妙ににこやかな冬樹と長瀬の間に挟まれた雅耶の引きつった顔に若干の違和感を覚えながらも、何だか皆が楽しそうなので、夏樹はそこには触れないでおいた。

「雅耶も飲むよね?じゃあ…雅耶はブラックで、ふゆちゃんがカフェオレ。長瀬がミルクと砂糖入り…で良いかな?」

「「「はーい」」」

三人の確認を取ると、夏樹はキッチンへと戻って行った。


夏樹の姿が見えなくなった途端に、冬樹と長瀬が示し合わせたように雅耶の方へと向き直った。

「よーし、雅耶っ!計画立てよう!」

「…計画?」

「そ♪クリスマスに夏樹ちゃん誘って初デートしようぜっ」

長瀬がウインクして言った。

「お…おうっ」

意気込んで頷く雅耶に、今度は冬樹も穏やかな笑顔を向けると頷いた。

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