プリズム!
引っ越し祝いの日から、数日後。
12月25日。クリスマス当日。
街のあちこちを彩る煌びやかなイルミネーション。
どこの店先にも様々なツリーが華やかに飾られ、ケーキやプレゼントを購入するお客で賑わいを見せていて、駅前通りも朝からすっかりクリスマスムード一色と化していた。
そんな中、夏樹は雅耶と二人…駅に向かって歩いていた。
珍しく緊張した面持ちで「25日、空いてる?付き合って欲しい所があるんだけど」…と雅耶の誘いを受けたのは、つい先日のこと。
普通に「空いてるけど…?」なんて出掛ける約束をして。
それが実は、クリスマスのデートの誘いなのだと気付いたのは、約束をしたその日の夜、愛美と電話で話している時のことだった。
『えっ?それ…もしかしなくてもデートのお誘いだよー』
愛美に指摘されて、今更ながらに思いきり慌てた。
自分の中で『クリスマス』というイベントは、これまであまり関わりもなく、どうしても忘れがちなものだった。
子どもの頃は家族でケーキやご馳走を食べたり、両親からプレゼントを貰ったりした記憶もあったが、『冬樹』として過ごして来たここ数年の自分には、そんなイベントを楽しむ余裕など皆無だったから。
学校に行けば、嫌でもクリスマスの話題で盛り上がる同級生達の声を耳にし。人混みを歩けば、プレゼントを抱えて歩く幸せそうな家族を目の当たりにして、過去の温かな眩しい記憶を呼び起こしては、自分の犯してしまった罪の重さに苛まれていた。
それは勿論、去年の冬も同様だった。
12月25日。クリスマス当日。
街のあちこちを彩る煌びやかなイルミネーション。
どこの店先にも様々なツリーが華やかに飾られ、ケーキやプレゼントを購入するお客で賑わいを見せていて、駅前通りも朝からすっかりクリスマスムード一色と化していた。
そんな中、夏樹は雅耶と二人…駅に向かって歩いていた。
珍しく緊張した面持ちで「25日、空いてる?付き合って欲しい所があるんだけど」…と雅耶の誘いを受けたのは、つい先日のこと。
普通に「空いてるけど…?」なんて出掛ける約束をして。
それが実は、クリスマスのデートの誘いなのだと気付いたのは、約束をしたその日の夜、愛美と電話で話している時のことだった。
『えっ?それ…もしかしなくてもデートのお誘いだよー』
愛美に指摘されて、今更ながらに思いきり慌てた。
自分の中で『クリスマス』というイベントは、これまであまり関わりもなく、どうしても忘れがちなものだった。
子どもの頃は家族でケーキやご馳走を食べたり、両親からプレゼントを貰ったりした記憶もあったが、『冬樹』として過ごして来たここ数年の自分には、そんなイベントを楽しむ余裕など皆無だったから。
学校に行けば、嫌でもクリスマスの話題で盛り上がる同級生達の声を耳にし。人混みを歩けば、プレゼントを抱えて歩く幸せそうな家族を目の当たりにして、過去の温かな眩しい記憶を呼び起こしては、自分の犯してしまった罪の重さに苛まれていた。
それは勿論、去年の冬も同様だった。