プリズム!
「ごめんっ!勝手なことしてっ!」

「…えっ?」

「嫌な思い、しただろ?あんな風に車内で騒ぎ立てちゃって…。アンタの気持ち考えてなかった。ホントごめんっ!」

心底申し訳なさそうに頭を下げている夏樹に。

その女生徒は、初めは驚いたように目を見開いていたが、

「ううん…違うの。…助けてくれてありがとう」

そう言うと、彼女の方も頭を下げた。

「すごく、怖くて…嫌だったの。だから、助けてくれて嬉しかったんだ。本当にありがとう。…野崎さんって、勇気あるんだね」

そう笑顔を向けられて。

「…え…?」

自然に名を呼ばれて、思わず固まった。


(もしかして…同じクラスだったりする?…のかな?)

流石にまだ、クラスメイト全員の顔を覚えられてはいない。


戸惑っている夏樹の様子に、彼女はクスッと笑うと。

「私、野崎さんと同じクラスなんだよ?坂下愛美(さかした あいみ)っていうの。よろしくね」

そう言って微笑んだ。

「あ…。うん、こちらこそ。よろしく…」


それが、初めて女の子の友達が出来た瞬間だった。
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