プリズム!
雅耶は夏樹に向き直ると笑って言った。

「なぁ、夏樹?ここから先…少し目を瞑っててくれないかな?」

「…え?…どうして?」

きょとんと見上げて来る、その愛しい存在に。

雅耶は堪らなくなって手を繋いでいない方の手を、そっとその頬へと伸ばした。

「この先がね、夏樹に見せたかった…今日連れて来たかった場所なんだ。何だか勿体ぶるようで悪いんだけど、少し驚かせたいから最初だけ目を閉じてて欲しいんだ」

そう伝えると、夏樹は見開いていた瞳をそのままに「分かった」…と大きく頷いた。



夏樹が言われるままに目を閉じると、繋いだままの手を雅耶がゆっくりと引いて誘導してくれた。

無理なく歩ける速度で引いてくれていたが、すぐ側を人が通り抜けて行く、その気配を感じて不意に足を止めてしまったり、実際に人と肩が当たったりして上手く前へと進めない。

「ぅわ…っ…」

思わずつまづいてよろめきそうになった所を、雅耶が咄嗟に身体を支えてくれた。

「ごっ…ごめんっ」

「大丈夫か?…ごめんな。歩きにくいよな?じゃあ、ここ…腕に掴まって」

そう言うと、繋いでいた手を自分の腕へと絡めさせる。

「う…うん…」


(でも、こ…これって腕を組んで歩くってことじゃ…っ…)


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