プリズム!
『手を繋いで歩く』から『腕を組んで歩く』にレベルアップしたことで、夏樹は恥ずかしさから目を閉じながらもカーッ…と頬に熱を集中させた。

だが、周囲が薄暗いことで気付かれていないのか、「ほら…もっとちゃんとくっついてないと危ないよ」…などと、雅耶はこちらを気遣ってくれていたので、夏樹は内心でホッとしていた。


歩いて行く内に周囲がだんだんと賑わって来て、人々の声の響きや空気の流れから、何処か広い場所へと出たことが分かる。

「あと少しだから、我慢してね」

人の多い中、雅耶の声が聞こえてくる。

「うん。大丈夫…」

そう答えながらも、その腕を掴む手に自然と力がこもった。


(何だろう…。雅耶が『見せたかったもの』って…)


周囲のざわめきが気になりながらも、目を閉じて俯きながら必死に(はぐ)れまいと雅耶の腕にしがみ付いていた。


目を閉じてから、どの位歩いて来たのか分からない。

何だかそれは、とても長い時間のように感じた。

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