プリズム!
「それを着て明日から新しい学校へ通うのね…。大丈夫。すぐ慣れるわよっ。もう正体を偽る必要はないんだもの。そのままの貴方で良いのよ。頑張ってね!」
「清香先生…。…うん、ありがとう…」
少女は、はにかみながらも笑顔を浮かべた。
そう、清香のことを『先生』と呼ぶ、この少女…野崎夏樹は、つい先日までその成蘭高校の生徒だったのである。
彼女は特異な経歴の持ち主だった。
夏樹には、冬樹という双子の兄がいる。
二人は、二卵性双生児でありながら親も間違える程、そっくりな双子だった。
よくお互いに入れ替わって遊んだり、時には悪戯をしたり…。
とても仲の良い兄妹だった。
だが、そんな彼らが小学二年生の頃。ある事故が起きた。
両親と夏樹の乗った車が、崖から海へと転落したのだ。
そして、その場所の地形や天候などの不運が重なり、三人は行方不明のまま捜索は打ち切られてしまうのだった。
家族を失い、一人ぼっちになってしまった冬樹…。
だが、実はその冬樹こそが、事前に入れ替わっていた夏樹本人だったのである。
その事実を誰にも言えず、誰にも気付かれることなく、夏樹は兄が見つかることを信じて『冬樹』を演じたまま過ごしていく。
そして、無情にもそのまま八年という年月が経過してしまうのであった。
「清香先生…。…うん、ありがとう…」
少女は、はにかみながらも笑顔を浮かべた。
そう、清香のことを『先生』と呼ぶ、この少女…野崎夏樹は、つい先日までその成蘭高校の生徒だったのである。
彼女は特異な経歴の持ち主だった。
夏樹には、冬樹という双子の兄がいる。
二人は、二卵性双生児でありながら親も間違える程、そっくりな双子だった。
よくお互いに入れ替わって遊んだり、時には悪戯をしたり…。
とても仲の良い兄妹だった。
だが、そんな彼らが小学二年生の頃。ある事故が起きた。
両親と夏樹の乗った車が、崖から海へと転落したのだ。
そして、その場所の地形や天候などの不運が重なり、三人は行方不明のまま捜索は打ち切られてしまうのだった。
家族を失い、一人ぼっちになってしまった冬樹…。
だが、実はその冬樹こそが、事前に入れ替わっていた夏樹本人だったのである。
その事実を誰にも言えず、誰にも気付かれることなく、夏樹は兄が見つかることを信じて『冬樹』を演じたまま過ごしていく。
そして、無情にもそのまま八年という年月が経過してしまうのであった。