プリズム!
それは、女の子達に対する憧れもきっとあったのだと思う。

その中に入ることが出来ない自分を切り捨てる為に…。

憧れをも断ち切るように、自ら男子校を選んだ。


だが、実際に戻れることになるなど想定していなかった…というのが本音で…。

行動も、言葉遣いも、何もかもが男そのものの自分。

以前より少しだけ髪は伸びたけれど、どうしても『冬樹』の時の自分と何かが変わったとは思えなかった。


鏡に映る自分の制服姿を眺めながら、夏樹は小さく溜息を吐いた。

(…何か、やっぱり女装してる気分…)

どうしても見慣れない自分のスカート姿に、恥ずかしさを通り越して気持ち悪さしか感じない。

(最近よく、ニューハーフの人とかがテレビでバリバリのミニとか着こなしてるの見るけど、実際男として生まれて育ってきて、よく普通に着れるよな…)

それこそ尊敬に値すると思った。


鏡の前で本気で肩を落としている夏樹に、清香は苦笑した。

「また…何かマイナスなこと考えてるわね?何か不安があるなら相談に乗るわよ?」

「う…ん。とりあえず、大丈夫…。こればっかりは、もう慣れるしかないしね…」

鏡の中の自分から目を逸らすと、夏樹は後ろにいる清香を振り返った。
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