プリズム!
「うーん…。カッコ良かった…っていうか、綺麗な感じの男の子だったような…。でも、助けて貰ったことで、私の中で美化しちゃってるのかも知れない。今となっては何とも言えないよ。私、記憶力に自信無くって…」

これ以上は無理だというように、愛美は笑った。

「でも、それ分かる!確かにその時のシチュエーションで美化しちゃうってあるよねっ」

「うん、うん!その時点で既にフィルター掛かっちゃってるんだよねっ」

盛り上がっている悠里と桜に。

「…そういうものかな?」

素朴に疑問を感じて夏樹が呟くと。

「もーっ!愛する幼馴染みクンがいる人はコレだからーっ」

とのツッコミが返ってきた。




放課後。

いつも通り夏樹と愛美は二人、駅へと向かって歩いていた。


愛美は、隣を歩く夏樹に何気なく視線を向けた。

サラサラとなびく、ショートカットの髪。

その横顔は凛としていて綺麗で、学年でも一二を争う美人さんだと思う。

夏樹が転入してきて、もうすぐ丸二週間が経つ。

通学時に痴漢に遭っていた所を助けてくれた、勇気ある彼女。

それをきっかけに、こうして友達になれて自分は本当にラッキーだったと思っている。

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