プリズム!
そんなに口数は多い方ではないけれど、自分の話をちゃんと目を見て聞いてくれて、時には笑い、冗談も返してくれる。そして、何より相手の考え方を尊重してくれる優しい子だ。

まだ付き合いは浅いとはいえ、愛美は夏樹のことが好きだった。

ずっと仲良しでいたい、大切にしたい友達。

(でも、夏樹ちゃんを見てると何かを思い出しそうな…。この不思議な感じは何なのかな…?)

自分でも、よく分からないモヤモヤ感に時々襲われて戸惑うけれど。

でも、彼女にだけには隠し事をしたくない。

何事も本音を話したいと愛美は思っていた。

(だから、正直に話そう!夏樹ちゃんになら笑われても良いっ!)

愛美は、ひとり心の中でそう決意を固めると、夏樹に思い切って声を掛けた。


「あのね…夏樹ちゃんっ」


「…ん?」

夏樹は優しい瞳をこちらに向けた。

「お昼休みに、成蘭の男の子の話…したじゃない?」

「うん。愛美が会いたい子の話だよね?」

最近夏樹ちゃんは、私のことを『愛美』って呼んでくれる。

私はまだ『ちゃん』を取れないでいるけど…。

「うん。その話でね…。実は…。悠里ちゃんと桜ちゃんの前では言えなかったことあるの…」

「……?言えなかったこと…?」

夏樹は不思議そうに首を傾げた。
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