プリズム!
後々、雅耶は『大事にしたいと想っているヤツは、今も昔も一人しかいないから、自分に正直になった』と、彼女と別れた理由を話していた。
それが『夏樹』だったことは、凄く嬉しかったけれど。
それでも実際、毎日のように校門の前に待っている彼女を見て、複雑な想いを感じていたのは事実だし、二人が並んで歩く光景が目に焼き付いていて、やはり、あまり思い出したくはない過去だったりする。
(でも、その頃に…?愛美と会ってるって…?)
記憶を掘り起こそうと懸命に頭を働かせながら、何気なく愛美に視線を移すと、きょとんとした顔で首を傾げてこちらを見ている彼女と目が合った。
(…あれ?何だろ…。今何か、ちょっと思い出し掛けた…)
その間にも、隣で長瀬がその時のことを説明してくれている。
「…それでさ、丁度電車に乗り込むときにドア横に立ってた女の子がよろめいて倒れそうになってたじゃん?それを、咄嗟に冬樹チャンが受け止めてさ…」
「…あ」
(そうだ。思い出した…)
突然、倒れ掛けた具合の悪そうな女の子を受け止めた後。
『…大丈夫?』
そう声を掛けて。
でも彼女は僅かに頷くだけで、かなり辛そうな感じだったから…。
『無理しない方が良いよ。こっちに…』
そう言って、その子を支えながらすぐ横の空いていた優先席に座らせたんだ。
それが『夏樹』だったことは、凄く嬉しかったけれど。
それでも実際、毎日のように校門の前に待っている彼女を見て、複雑な想いを感じていたのは事実だし、二人が並んで歩く光景が目に焼き付いていて、やはり、あまり思い出したくはない過去だったりする。
(でも、その頃に…?愛美と会ってるって…?)
記憶を掘り起こそうと懸命に頭を働かせながら、何気なく愛美に視線を移すと、きょとんとした顔で首を傾げてこちらを見ている彼女と目が合った。
(…あれ?何だろ…。今何か、ちょっと思い出し掛けた…)
その間にも、隣で長瀬がその時のことを説明してくれている。
「…それでさ、丁度電車に乗り込むときにドア横に立ってた女の子がよろめいて倒れそうになってたじゃん?それを、咄嗟に冬樹チャンが受け止めてさ…」
「…あ」
(そうだ。思い出した…)
突然、倒れ掛けた具合の悪そうな女の子を受け止めた後。
『…大丈夫?』
そう声を掛けて。
でも彼女は僅かに頷くだけで、かなり辛そうな感じだったから…。
『無理しない方が良いよ。こっちに…』
そう言って、その子を支えながらすぐ横の空いていた優先席に座らせたんだ。