プリズム!
その頃、成桜女学園高等学校では。
まだ本鈴が鳴る前に教室へと到着した夏樹と愛美は、窓際の一番後ろの席である夏樹の机の傍で二人並んで話をしていた。
悠里と桜はまだ来ていないようだ。
「愛美、これが証拠…だよ」
夏樹は制服の内ポケットから小さな手帳を取り出した。
「これ…生徒手帳?」
「うん。成蘭の…なんだ」
周囲にいるクラスメイト達には見えないように、こっそりと愛美の手に渡す。
もしも見つかったとしても、双子の兄の物だと言えばいいのだけれど。
カバーの表には成蘭の校章と学校名がしっかりと入っていて、裏側には学生証が見えるように入っていた。
愛美はその学生証に貼ってある写真に目を止めた。
「…これが、夏樹ちゃん?」
「うん…。見覚え…ある?…かな?」
その学生証には『野崎冬樹』と名前が記載されてあり、夏樹に良く似た少年の写真が貼ってあった。
確かに夏樹だと言われれば夏樹の顔なのだが、その写真を見る限りでは綺麗な顔立ちの少年のようにしか見えないと愛美は思った。
髪型が違うのも大きいのだが、あまりにも受ける印象や雰囲気が違い過ぎて、まるで別人のようであった。
その写真の少年は隣にいる夏樹とは違って、何処か表情が冷たく無表情で、でも何だか寂しげな影を纏っているような印象を受ける。
まだ本鈴が鳴る前に教室へと到着した夏樹と愛美は、窓際の一番後ろの席である夏樹の机の傍で二人並んで話をしていた。
悠里と桜はまだ来ていないようだ。
「愛美、これが証拠…だよ」
夏樹は制服の内ポケットから小さな手帳を取り出した。
「これ…生徒手帳?」
「うん。成蘭の…なんだ」
周囲にいるクラスメイト達には見えないように、こっそりと愛美の手に渡す。
もしも見つかったとしても、双子の兄の物だと言えばいいのだけれど。
カバーの表には成蘭の校章と学校名がしっかりと入っていて、裏側には学生証が見えるように入っていた。
愛美はその学生証に貼ってある写真に目を止めた。
「…これが、夏樹ちゃん?」
「うん…。見覚え…ある?…かな?」
その学生証には『野崎冬樹』と名前が記載されてあり、夏樹に良く似た少年の写真が貼ってあった。
確かに夏樹だと言われれば夏樹の顔なのだが、その写真を見る限りでは綺麗な顔立ちの少年のようにしか見えないと愛美は思った。
髪型が違うのも大きいのだが、あまりにも受ける印象や雰囲気が違い過ぎて、まるで別人のようであった。
その写真の少年は隣にいる夏樹とは違って、何処か表情が冷たく無表情で、でも何だか寂しげな影を纏っているような印象を受ける。