プリズム!
雅耶達の家の方面との分かれ道に差し掛かると、夏樹は二人を振り返った。

「それじゃあ、私はこっちなので…。さようなら」

薫に説明をするように挨拶をして、軽く頭を下げた。

「えっ?そうなの?気を付けてね」

二人が幼馴染みだと聞いて、帰る方向が同じだと思っていたらしい薫は、一瞬驚いた表情を見せて立ち止まっていたが慌てて手を振った。

その隣で一緒に歩みを止めている雅耶にも挨拶をする。

「じゃあ、またね。雅耶…」

軽く手を上げて、そのまま別れようとした、その時だった。


「薫先輩。俺もこっち行くんで、また…」


そう言って、雅耶は夏樹の横へと並び立った。

(――雅耶…?)

その思わぬ行動に驚きを隠せず、夏樹は横にいる雅耶を見上げた。




「…どうして…?」

「…何が?」

薫と別れてから暫く無言で歩いていた二人だったが、その沈黙を先に破ったのは夏樹だった。

「別に気を使わなくても良いのに…」

< 80 / 246 >

この作品をシェア

pagetop