プリズム!
先程からこうして二人で話していても、横を通る男共が夏樹に視線を送り、振り返る姿がちらほらと見受けられる。

それ程までに夏樹は周囲の注目を浴びていた。

そんな夏樹を連れて、校内を堂々と皆に自慢して歩きたい位だと、正直悪趣味なことを考えてしまう程だ。

それ位、夏樹は魅力的だった。

(…そんなことを言ったら、お前は怒るかも知れないけどな…)


じっ…と眺めていたら、夏樹が心配げに名を呼んで来た。

「もし…早めに終わったらさ、携帯にでも連絡入れてよ。そしたら一緒に回れるだろ?」

一生懸命気を付けているのだろうけど、言葉の端々(はしばし)に未だ男言葉の名残(なごり)が混じっていて、その外見とのバランスに思わず笑みが零れる。

「…雅耶?」

「いや、何でもない。じゃあ、終わったら必ず連絡するよ。出来るだけ早く上がれるようにするから、悪いけど待ってて。せめて昼くらいは一緒に食べたいよな…」

「そうだね。じゃあ…また、後でね」


友人達の輪に合流し、もう一度こちらを振り返って軽く手を上げてる夏樹の横で、長瀬がゴキゲンな笑顔で手を振っていて。

それが八つ当たりだと分かっていながらも、ちょっとだけムカついてしまう雅耶だった。

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