プリズム!
夏樹と愛美は休憩しながら、先程三年生が出していた模擬店で購入したクッキーを食べてみることにした。

「すごいねっ。男の子ばっかりの学校でもクッキー作って売ったりするんだね。見た目も結構かわいい♪ちゃんと型抜きしてあるよー」

愛美は綺麗にラッピングされた袋の中から、一枚の星形クッキーを取り出すと、感心したように眺めた。

「確かに…」

よく見ると、自分の袋の中にはハート形のクッキーばかりが入っていて、その一枚を取り出した夏樹は思わず目を細めた。

先程売り子をしていた妙に愛想の良いゴツイ三年生の姿が頭を()ぎる。

そんな男子生徒の集団が、せっせとハートの型抜きをしながら、お菓子を焼いている姿を想像して思わず身震いした。

「…夏樹ちゃん?どうしたの?」

不思議そうに愛美に覗き込まれて、夏樹は渇いた笑みを浮かべた。

「いや…ちょっと怖いもの想像しちゃって…」

「…?」


だが、どのように作られたかという工程は置いておいて、そのクッキーはとても美味しかった。

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