姉妹ものがたり
喧嘩するほどなんとやら
姉はいわゆる天才肌で、大抵のことは何でも人並み以上にこなせた。
対して妹はかなりの努力家で、人一倍努力はしているのだが、姉には到底及ぶべくもなかった。
それがどうにも悔しくて、皐月は努力に努力を重ねる。
けれど、そんな皐月の並々ならぬ闘志には気づかぬまま、今日も弥生は朗らかに笑う。
「ジャーン。さつきちゃん、今日のおやつはシュークリームよ」
「今それどころじゃないから」
ご機嫌な弥生の声を背中に聞きながら、皐月は教科書を眺め続ける。
「クリームはね、いちごとチョコと…それからカスタード」
「だから!」
勢いよく振り返った皐月の鼻先に、甘い香りの漂う白い箱が突きつけられる。
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