姉妹ものがたり
「せめて委員会でなにか」
「“仕事を全くしない”で有名な、保健委員です。おれの仕事は、いつも代わりに皐月が」
あからさまにガクッと肩を落とす木田を、首を傾げて眺める。
「ならせめて、成績はそこそこ」
「毎回、補習組です。成績優秀者の皐月に、鬼のような顔でしごかれてます」
大げさな程、盛大なため息とともに木田の顔が、完全にテーブルに突っ伏した。
「三上さ、高校行く気あるの?」
力なく呟かれた声に、”当然だ”と言わんばかりに頷き返す。
「皐月みたいに、ちゃんと進路を考えてるわけじゃないですけど、せめて高校くらいは出といた方がいいかなって」
呆れたようなため息とともにゆったりと顔を上げた木田の、気だるげな視線を受け止めて首を傾げる。
「さっきから気になってたんだけど、その“さつき”って誰?」
思いがけない木田の言葉に、キョトンとした顔のまましばらく思考が停止する。
「えーっと…中一の時からずっと同じクラスのクラスメートです。あと、おれが片思い中の弥生さんの妹でもあります」
なぜいきなりそんなことを聞くのかと疑問に思いながら、とりあえず短的に説明する。