姉妹ものがたり
「自分の気持ちが、本当はどこに向いてるかわからないから苦しいんじゃないの?」
言葉の真意を理解しかねて、堪らず首を傾げる。
「どういうことですか?」
それ以上は答える気がないのか、木田は口を噤んだまま歩き続ける。
それに習って口を閉じ、静かに考えてみるも、やはり木田の放った言葉の意味は理解できないままだった。
「とりあえず」
しばらく無言で歩き続けたところで、ようやく木田が口を開く。
「三上は、勉強に集中しろ」
返す言葉が見つからずにむっつりと押し黙る。
再び沈黙に包まれた二人を、家路を急ぐ人の波が押し流していった。