姉妹ものがたり


「お前今、弥生さん見てどうやって食べるか決めただろ」

「ぐふっ!?」


向かい側に座る弥生には聞こえない声量で呟く慎也に、確信をつかれた皐月は思わず口に入れたシュー生地を噛まずに飲み込んでしまった。


「大変、さつきちゃん大丈夫?今、お水…よりもやっぱり紅茶かしら?シュークリームには、さっぱりしたストレートティーなんて合いそうよね」

「ゲッホ、なんでもいいから早く!!ゲホ、ゴホ…」


呑気に飲み物の種類なんて考えている弥生に、皐月は声を張り上げる。

パタパタとキッチンへ駆け込む足音を聞いてため息をつくと、結局クリームまみれになった手元や口元をティッシュで拭いつつ、この惨事を引き起こす元凶となった人物を睨みつけた。


「言っとくが、今のはおれのせいじゃない。と言うよりも、おれは一切関係ない」

「よくもぬけぬけと…」
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