ラブリング
突然の告白
社内には、陸と私の二人きり。
「さてと…後片付けも終わったね」
「はい、終りましたね」
「田中君先に上がって良いよ」
「山口さんは?」
「あ、今日迎えが来るから(笑)」
「たまに迎えに来る人ですか?」
「そうそう、だから先上がって良いよ。最後の戸締まり私がするから」
椅子に座り缶コーヒーを飲んだ。
「迎えに来る人…彼氏さんですか?」
「ん?そうよ(笑)彼氏じゃなきゃ誰が迎えに来るのよ(笑)」
「ですよね…」
「お疲れ~」
「あ…お疲れ様でした」
私は、椅子に座りながら手を振り陸はドアに向かって歩いて行った。
私は、彼氏からのメールを待ち携帯を弄っていた。
すると
コツコツコツ…と足音が近付いて来た。
何かと思い振り替えると、目の前に陸が立っていた。
「ど、どうした?帰らないの?」
「…」
俯いたまま立っている陸…
「田中君?どうした?」
と陸の顔を覗き込んだ時、陸はパッと顔をあげ私の目をちゃんと見つめながら
「山口さんが好きです!彼氏いても好きなんです!付き合って下さい!」
そう言って頭を下げたと思ったら、直ぐさま駆け出して帰って行ってしまった。
誰もいない社内に一人残された私…
(何今の…好きです?彼氏いても付き合って下さい?…嘘…有り得ないよ…有り得ない…何かの聞き間違えだよ…)
するとププププッと車のクラクションの音が聞こえた。彼氏が迎えに来たのだ。
慌てて鞄を持ち戸締まりをして、彼氏の車に飛び乗った。
「ハァハァ…ごめんね…ハァハァ…」
「どうした?息切らせて?」
「あ、慌てて出て来ちゃって(笑)」
「ゆっくりでも良いのに(笑)」
「待たせるの悪いからさ!」
「そか、じゃ帰るか」
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