fermata
♩
「ピアノは好き?」
今日も洋館の二階は窓が開き、カーテンが躍っている。
「うん」
私は前を向いたまま答える。
「弾ける?」
「弾けない」
かすれた声は、少し笑ったようだ。
「ラフマニノフ」
「知ってる。世界で一番難しい曲」
「それは協奏曲第三番」
そう言った後、聞き覚えのある曲が流れた。
静かに入り、徐々にテンポが上がっていく。
「これは第二番」
曲が終わったところで、かすれた声が言った。
「世界で一番難しい曲、弾いてみて」
言ってみると、またかすれた声は笑ったようだ。
「今度ね」
そして、協奏曲第二番によく似た前奏曲が聴こえて来た。
今日も洋館の二階は窓が開き、カーテンが躍っている。
「うん」
私は前を向いたまま答える。
「弾ける?」
「弾けない」
かすれた声は、少し笑ったようだ。
「ラフマニノフ」
「知ってる。世界で一番難しい曲」
「それは協奏曲第三番」
そう言った後、聞き覚えのある曲が流れた。
静かに入り、徐々にテンポが上がっていく。
「これは第二番」
曲が終わったところで、かすれた声が言った。
「世界で一番難しい曲、弾いてみて」
言ってみると、またかすれた声は笑ったようだ。
「今度ね」
そして、協奏曲第二番によく似た前奏曲が聴こえて来た。