愛言葉ー溺愛ー

(この写真なんで私が⋯?それにみんなも⋯でも、私は初めてここに来て、誰も知らなくて⋯それで⋯私は、何も知らない⋯!!)


何かを恐れ、拒むようにぎゅっと目を瞑ると前よりもハッキリとした記憶が脳裏を駆け巡った。


────場所はこの家の庭。さわさわと涼しい風が草原を弄ぶ。仲良くみんなでボール遊びをしていたらお父さんとみんなのお父さんが写真を撮ってくれた。みんな笑顔でそこには幸せな時が流れていた。温かい陽だまりの香り。



頭を抑え痛みに耐えるも虚しく、一筋の涙を零し意識を手放した。

薄れていく意識の中少しだけ叶夢の声が聞こえたような気がした。


****



「⋯⋯⋯?」



重い瞼を開けるとそこには見慣れた天井。起き上がろうとするも体が重く体がいうことをきかない。さらに頭がガンガンする。

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