愛言葉ー溺愛ー


最初に口を開いたのは叶夢。素直に頷く祭莉を見てさらに俯いてしまう。その数秒後、祭莉ゆっくりと口を開く。


「⋯はい。全部、思い出しました。私は、みんなも⋯お母さんも忘れてしまってた。心を閉ざしててっ⋯ずっと可笑しいっておもってた。みんなと一緒にいる時懐かしいなって思ってたの⋯⋯っ」


涙声で告げる。その声はか細くて、今にも消えてしまいそうで震えていた。


「ごめん、ごめんなさっ⋯ごめんなさい⋯⋯⋯っ!」


そう。全てを忘れてた。自分で鍵を掛けて、現実から逃げてた。傷つくのが怖くて怖くて仕方がなかった。臆病でずるい、卑怯者でしかなかった。

< 136 / 187 >

この作品をシェア

pagetop