愛言葉ー溺愛ー


────二年前、私の高校の入学式。
お母さんはこれまでにない最高の笑顔を見せていた。幸せだった。けれど、その一時の幸せとは裏腹に運命とはどこまで残酷なのだろう。

天国から地獄へ引きずり降ろされた感覚。それよりももっと酷い。




入学式が終わり、桜の花びらが舞う小道を共に帰っているとお母さんは"何者"かによってさらわれた。"何者"なのかは今ではすぐにわかった。正体は"闇ノ住人"。そう、小さい頃、ずっと祭莉(ワタシ)のことをつけてきたあの人。きっと、恨みを買ってお母さんを⋯。


捜索願をだすも手掛かりがないのですぐに打ち切り。疲れ果て家に帰って私が見たのはとても無残なお母さんの死体。お父さんは私を庇うように必死に守った。




そして自ら記憶を消して逃げ出した──




『天城』の家から『カフェ』は近かったため、ちっちゃい頃からよく遊びに行っていた。"皆"に会うために。



でも、お母さんが亡くなって家を引っ越し、お父さんのお姉さんが新しい"お母さん"として可愛がってくれた。そして私は"朝霧祭莉"になった。



そこで、彩芭くん達と出会った。



忘れてはいけない私の記憶。みんなが守ってくれた私の過去。


私の名前は天城祭莉。天城櫻緋姫の血を受け継ぐ者。そして彼らは結城一族の末裔────
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