愛言葉ー溺愛ー
混乱する祭莉の頭を優しくなでる神楽。昔と変わらない優しく、どこか威厳のある神楽の声が頭の中で響く。
「分かりました⋯。」
すると、琥珀が少し悲しさを孕んだ笑顔で浴室を指差す。どうやら案内してくれるようだ。
部屋を出て長い石造りの廊下を歩く。真ん中には赤いカーペットが敷いてある。その廊下の先になカフェと同じような木造の茶色い扉があった。
「こちらです。姫様」
ギィィという重い音と共に扉が開く。中はほんのりと青白く光る行燈(アンドン)が数個あり、その隣に籠が置いてあった。
「あ、ありがとう⋯えっと⋯。」
どうすれば良いか分からず、戸惑っていると、琥珀が口を開いた。
「私は少し外に出ますので、どうぞお着替えください。香と替えの服を持って参ります。」