愛言葉ー溺愛ー
「それで、会いに行けなかった理由は⋯。」
神楽が言いにくそうに目を泳がせる。
「⋯もう。⋯大丈夫。わかってるからっ。私を傷つけないようにはなれていったんでしょ⋯?ごめんね⋯お兄ちゃんっ!ごめんっ。もう一度会えて嬉しかった⋯⋯っ!ずっと寂しくてっ⋯!」
話を聞いていて分かった。過去になにがあったかも、祭莉を傷つけないために離れていったことも全て。
「私もです。祭莉。貴女を忘れた日なんてありません。」
ぎゅうっと神楽がきつく抱き締める。
「祭莉、遅れてごめんな?もう、離れないから心配すんな。」
遊鳥が微笑んで頭を優しく撫でる。目尻には少し涙が溜まり、赤みを帯びていた。
「遊鳥様?神楽様?姫様に触れないで頂けますかぁ~?」
そんな感動的なシーンを無視してガチャっと音を立てて琥珀が入ってくる。どうやらお茶を持ってきてくれたらしい。その顔はどこかむすっとしていた。