愛言葉ー溺愛ー
ははっと笑う幾夢。すると、シグレが祭莉と幾夢の前に来て頭を下げる。
「祭莉様、イクト様ご乗車くださいませ。」
いつの間にかみんな車に乗っていたようだった。黒く輝く車。
中に入ると、十人も座っているのに窮屈さは感じずむしろ広々としていた。
「凄く広い⋯!」
座るともふっと柔らかで繊細な生地が包み込む。
そしてブロロ⋯という音と共に車が動き出した。
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「四十分程でつくと思うからね。それと、息子達、まずはフェークライン⋯いや、祭莉に本当の名を教えてあげたらどうだい?」
微笑みかけると、叶夢が頷いた。
「そうですね。祭莉ちゃん、俺達にはここの世界での名前があるんです。」