愛言葉ー溺愛ー
「ち、遅刻っ!」



時計を見て一気に覚醒した祭莉はベッドから跳ね上がり、ドタバタと急ぎ足で準備をし、リビングへと向かった。



「⋯⋯?」



リビングのドアの前。いつも騒がしいはずのリビングが今は静かだ。

不思議に思いながらもそーっとドアを開けると、そこには誰もいなかった。



「あ、れ⋯?」



「なに、やってんの⋯?」



困惑中の祭莉に後ろからそっと耳元で囁く。びっくりし、耳を抑えくるりと振り向くと、眉根を寄せた可愛い顔が 目いっぱい映った。



「し、汐遠さん!?⋯もう、驚かせないでください⋯」



「ん?頬を膨らませているけど、それは怒ってるつもり?それに僕は話しかけただけだけど?」



両手を後ろで組んで控えめに笑う汐遠。怒っているつもりだったがあまり怖くないらしく、笑われてしまった。
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