愛言葉ー溺愛ー
「それはね⋯祭莉ちゃんが、特別な血の持ち主⋯だからだよ。俺らを惑わせる甘い匂いを漂わせてる。満月に近い今だとさらに凄く感じるんだ⋯。それに、人間は祭莉ちゃんだけだよ?」



押し退けられ、ご機嫌ななめな幾夢がそれに付け足す。



「そ。お前の遠い祖先は天城櫻緋姫(アマギオウヒメ)様だからな。とてつもなく甘ったるい血を皆が求めてんだよ。」



「え?皆さんは危険なんですか⋯?」



戸惑ったよう眉を八の字にさせながら言う。


「んー。そうだねぇ⋯。四六時中甘い香りを漂わせてたらねぇ。みんな我慢できないよね?」



顎に手をやりながら考えていた叶夢がまだよく分かっていない祭莉を脅かして遊ぶようにくすっと黒い笑みを浮べた。

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