愛言葉ー溺愛ー
薄暗く長い廊下の先にある茶色い扉を開けて中に入る。ほんのりとオレンジ色の電気がついている。

誰か消し忘れたのだろうか。

そんなことを考えつつも、服を脱いでいく。


「ふー。」


ドアを開ける。広い浴室は白い湯気で覆われていた。

床は大理石、浴槽はとても大きく温泉レベル。緑色のお湯にオレンジや黄色、赤色の薔薇の華が浮いていてとても綺麗だ。

此処の広いお風呂は数少ない一日の疲れを落とせる場所の一つだった。


「⋯?」


パシャッと水の音がする。


「誰かいるの⋯?」


タオルで体を隠し、一歩後ろへ下がると、誰かにぶつかった。


「りぃーんー?危ないぞー?」



手を肩に置いて耳元で囁くその人は⋯⋯



「幾夢さんっ!?入ってたの⋯?あわわっ。すいませんっ」



慌てて出ようとすると前に黒い影がかかった。幸い、ただでさえ薄暗く、白く曇っているのでお互いの体は見えず、だ。
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