愛言葉ー溺愛ー
「どうしよう⋯」



どうにか森をぬけようと考えていると、後ろから急にガサガサッという音がした。


頭が理解するのより早く、しゃがんで耳を塞いでいた。どんどん音が大きく、近づいてくる。



「うわっ。⋯なんでこんなところに人が⋯?君、大丈夫っ?」



不気味とは程遠い穏やかな声におそるおそる目を開く。


すると、優しそうな人が心配そうにこちらを見ていた。



「え?⋯えっ!?」



「ごめんね?びっくりさせちゃったかな⋯?しゃがんでたから心配になっちゃって。どこか痛いの?大丈夫?」



「あ、はい。大丈夫です。こっちこそ心配をかけてしまって⋯。」


そう言うと、大丈夫だよ、と微笑んだ。


彼の微笑んだ顔はぼんやりとした記憶だが、どこか懐かしいように思えた。
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