愛言葉ー溺愛ー
彩芭が椅子から立ち上がり尋ねる。


「うん。大丈夫だよ。彩芭くん。」


そう言って微笑むと、安心したのか少し涙目になっていた。


彼は華宮彩芭(ハナミヤ サイハ)。祭莉のクラスメイトで、人懐っこくて優しい。初めて唯芽咲に言った時も、明るく接してくれた。



「お、起きましたね⋯!よかったぁ。」


水とお粥を持って入ってきた春叶が祭莉の近くに寄る。


「貧血で倒れたんだよっ?」


心配そうに彩芭が喋る。


「貧血⋯⋯。」


お風呂場で血を吸われていたことを思い出し、顔を赤くする。


「あっ⋯⋯!」

小刻みに震える私を見て申し訳なさそうに春叶が頭を撫でる


「⋯⋯ごめんね。祭莉ちゃん。」


首元に触れると、ズキッと痛む。その痛みが真実を証明していた。

怖いものの、これも満月による吸血衝動だと思い、大丈夫だよ、と春叶に微笑んだ。
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