愛言葉ー溺愛ー
「わぁ⋯凄い⋯」



しばらく眺めていると、こっちだよ、と言うように玄関近くで手を上下にふる春叶。


慌てて近くにいくと、珈琲の香りが風に運ばれ祭莉の周りを包み込む。

どうやら此処はカフェらしい。



「いらっしゃいませ」



と、ドアを開けて先に入るように促す春叶。お辞儀をして中に進むと、ふわっと珈琲の香ばしい香りが全体をつきぬけた。

ダークブラウンの木製の壁と床。黄土色のテーブル席とカウンター席。



「落ち着く⋯」



ふと気づくと、祭莉と春叶しかいないようだった。



「祭莉ちゃん、空いてる席に座ってて。お茶を持ってくるね」



そう言って厨房らしき、カウンターの奥の部屋へと消えていく春叶。しばらく待っていると、カランカランと可愛い鈴の音を立ててドアが開いた。
< 7 / 187 >

この作品をシェア

pagetop