愛言葉ー溺愛ー
「ほら、起きて。立てる⋯?」
汐遠が朔夜を見送り終えて、祭莉の前にしゃがんで問う。
「はい⋯」
祭莉は平気というようにニッコリと笑ってみせるが、汐遠に無理しているのが伝わったのか、はぁーと大袈裟にため息をつかれてしまった。
「大丈夫な訳ないでしょ。精神的に。」
そう言って手を差し伸べてくれる。
「⋯ほんとに大丈夫ですよ?」
「ふーん。まっ、いいや。帰るよ。僕今日これで終わりだから。考古学の授業に戻る気ないし。」
手を離すのかと思いきや、そのままぎゅっと繋いだまま階段の方を向く。
「は、はい。」
そのまま階段を下りて、カフェに戻っていった。