名前のない物語





青年は突如として大きくなった風船に驚きました。



そしてその中の女の子が目を覚ましていることに気付きました。




『きみはどうしてそんなところにいるの?』




青年は尋ねます。


しかし彼女が答えることはありません。


彼女は口を閉じ、ただじっと青年のことを見つめていました。


彼も目をそらすことなく彼女を見つめます。


その時初めて彼は彼女が震えていることに気付きました。





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