名前のない物語





彼はそんな彼女を見てひどく哀しそうな顔をしました。


そして彼は彼女に向かって音楽を奏でます。



それは町で聞く陽気な音楽ではなく、とてもとても優しい音でした。


その音色は塞いだはずの彼女の耳にも届きます。



そしてゆっくりと彼女の周りを包み込み始めました。



その音に彼女は苦しそうに顔を歪めました。





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