名前のない物語
パチリと彼女は再び目を開けました。
隣には誰もいません。
聞こえていた音楽も聞こえません。
辺りは再び暗い森の中。
彼女は風船の中にいました。
そう。すべては彼女が見ていたゆめだったのです。
しかし彼女は絶望しませんでした。
夢の中で、彼女は確かに幸せだったのです。
信じてもらえる喜びを確かに感じていました。
(もうすこし、しんじてみよう)
彼女は再び目を閉じます。
いつか今度こそ本当に目を開けて笑える日が来るのを待って。
おわり