名前のない物語





青年はそっとその風船に手をついてみました。


そして中の女の子を覗いてみます。


しかし彼女は少しも起きる気配を見せません。



彼はそんな風船の傍に座り、音楽を奏で始めました。


その音楽はとても綺麗で、辺りの木々たちはその音楽に合わせて踊るように揺れ始めます。


二つの風船もどことなくその音楽を聴いているようでした。





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