運命の扉
その日は雨が降ってて。グラウンドが使えないから体育館で練習だった。筋トレしてる時、ステージで個人発表の練習してる女の子たちがいた。凄いキレイな曲が流れてて、なんのダンスかわかんないけど、とにかく川みたいにしなやかな踊りだった。その中に、妖精がいたんだ。うちのジャージを着た妖精が。妖精はね、2人いた。でも俺が心を惹かれたのは、上品さがあるんだけど、元気な明るい妖精。
「なっ、あの妖精って誰!?」
近くにいた部活仲間の肩を叩いて、妖精を指差す。
「はっ?妖精?」
野球のやり過ぎで、こいつおかしくなった?みたいな感じだったんだけど。
「あのステージでの真ん中で踊ってる子!」
俺はもう一度、妖精を指差した。
「あぁ、井上姉妹だろ。」
分かり切ったように、妖精の名前を教えてくれた。
「井上…名前は!?」
「確か、真帆と汐里だったかな。なんで?」
「あの元気な妖精と友達になりたい!」
「はぁ?」
「だから、妖精と友達になりたいの!」
それから、俺が惹かれた妖精はどっちなのか調べて。真帆ちゃんの方だってわかったんだ。ずっと友達になるきっかけを探してた。何回も話し掛けようとしたけど、いつも内原たちと一緒いたからできなくて。