憧れの染谷くんは、いつも
・・・・・


程なくして、車は私のアパートの前に到着した。降りやすいように歩道側へ寄せてくれる。私は車から降りて、開けたドアへ手をかけた。


「染谷くん、今日はありがとう」

「どういたしまして。ちゃんと休めよ」

「うん」


いつもの、爽やかな笑顔。もうすぐ定時なのに、これから外回りだなんて。愚痴のひとつも言わない染谷くんに、さすがだなと感心した。


「じゃあ、仕事頑張ってね」


バタンとドアを閉めて少し後ろに下がると、車はゆっくり車道の中心へ向かった。一旦止まって私へ手を上げる染谷くんを見てしまったから、嬉しくなって思わず手を振った。


また明日、会社に行けば染谷くんに会えるかもしれない。仕事はつらいことも多いけれど、頑張ろう。そう思って今日もまた、眠りにつくことができる。


私にとって、染谷くんはーー。


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