憧れの染谷くんは、いつも
・・・・・
呑気に食後の蕎麦湯を飲んでいた高瀬くんは、私を見るとぎょっとしたように言う。
「松井、全然食べてないじゃん。大丈夫か?」
「うん……大丈夫」
何とか答えると、嘘吐け、とため息が聞こえた。
「だって、付き合ってないし! 昨日は、染谷くんが助けてくれただけだから。それを見た人が勘違いしちゃったんだ……どうしよう」
私は、昨日の経緯を高瀬くんに説明した。このままでは染谷くんの名誉に傷が付いてしまうと思い、必死だった。
それを聞いて高瀬くんは、にやりと笑う。
「ふーん、染谷がねえ。……そのまま押し倒されなかった?」
「な、ななな何言って……!」
場所も考えない高瀬くんの発言に、真っ赤になって慌てていると、急に真面目な顔を向けられた。
「……前から気になってたんだけど。松井って、染谷のことどう思ってる?」
「どうって……て、天井人、みたいな」
私の言葉に高瀬くんは、飲んでいた蕎麦湯を吹き出さんばかりの勢いでむせた。
「はあ? 染谷が? どこがだよ」