憧れの染谷くんは、いつも
ぱち、と目を見開いて染谷くんを見る。
噴水で遊んでいるはず子どもたちの声が、一瞬で何も聞こえなくなった。
染谷くんは段々下がってきた陽を背に受けていて、眩しい。私は染谷くんのことを、よく太陽のような人だと思っていたことを思い出していた。
ーーこの光と熱に焼かれるのは嫌だったはずなのに。
あの頃からずっと憧れていた人にこんなにも思ってもらえて、私は一生分の運を使い果たしたのではないかと思ってしまう。
それでも私は、染谷くんとずっと一緒にいたい。運が尽きて、これから先いいことなんて何も無かったとしても。
ーー私は、もっと自分を信じようと思うんだ。染谷くんが、私の背中を押してくれたから。
「いっ、一番最初に話した者同士、よろしく、お願いします……!」
私は、勢いよく頭を下げた。
息を飲むような空気を吸い込む音の後で、懐かしいな、と笑いを含んだ声がした。
「はい、じゃあお約束の」
近くなった声に顔を上げると、手のひらが目に飛び込んできた。新人研修のときの優しい手のひらを思い出して、懐かしさと嬉しさでいっぱいになる。
差し出された手をきゅ、と握り返すと、少し驚いたように染谷くんが言う。
「お、力加減覚えた? 今日は痛くない」
「もう、やめてよ」
そう言って笑い合う。
いつの間にか周りの音は再び戻り、噴水から湧き出る水の音も、子どもたちのきらきらした声も耳に届く。