恋愛と失恋の果てに。

私は……その電話に出る。

「……もしもし」

『あ、あの……何度もしつこくてごめん。
迷ったんだけど……どうしてもあの時のことを謝りたくてさ
あの時は……ごめん』
kissをしたことの謝罪だった。

彼もまた……真面目よね。
そう思ったらまた、涙が溢れてきた。

「……そんなの……いいのに……」

阿部さんの声を聞いたからだろうか?
それとも、ただ誰でもいいから甘えたかったのか。

『えっ?どうしたんだよ!?千奈美さん。
もしかして、泣いているのか?』

「……阿部……さん……」
涙が溢れて止まらない。
もうどうやって引っ込めたらいいか分からなかった。

『ちょっと待って!?
今何処に居るんだよ?今からそっちに行くから
場所教えて』
慌てたように言う阿部さん。

しばらくしたら
本当にその場所まで来てくれた。
来てくれただけでも驚いたけど……嬉しかった。

近くの喫茶店に入ると
阿部さんは、ハンカチを貸してくれた。
自分のも持っていたけど遠慮なく借りることにする。

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