恋愛と失恋の果てに。
「あ、いえ。変な意味じゃないんです。
あの……褒めてるつもりで」
あぁ、どうしょう。
自分で墓穴を掘ってるようなものだ。
オロオロとしていると笑われてしまう。
「ハハッ……尾野は、面白い奴だな」
あ、また笑った……。
課長は、こんな風に笑うんだ……?
そう思うと心臓がドキッと大きく高鳴ってしまう。
あれ?どうして、こんなにドキドキするのだろうか?
「さて、こんなところにいつまでもいたら不味いな。
尾野。悪いが俺に娘が居ることは、内密に頼む」
「えっ?はい。」
どうして娘さんをいるのを隠したがるのだろう?
別に言ってもいいと思うのに……。
「どうして娘さんのことを隠したがるんですか?」
不思議に思って仕方がない。
「娘に迷惑をかけたくないからだ。
梨々花の親権は、母親が持っているからな」
そう言うと少し寂しそうな表情をする課長。
本当は、手離したくないのかもしれない。
父親だものね。
「分かってます。
絶対に他の人に言ったりしません」